0016 葛飾 アンジュ 蝶 編 (4/79)

「多くの人間が集まると 蟻社会と同様に7:3の割合で働き者と怠け者に分かれます」


不意に先生と目が合った。メガネの奥には、細い瞳が見える。


「学校も会社においても 3割の人間は働いているフリや勉強をしているフリをしているのです」


先生は円から矢印を伸ばし、学校と会社という文字を書いた。


「皆さんは封建社会の勉強 もうしたかな?」


ほうけん?先生はさらに何かを続けようとしたけど、そこでチャイムが鳴った。


なんか、みんな夢中で理科の先生の話を聞いていたみたい。ジュリアもチャイムでハッとした。


「おやまあ 終わっちゃいましたね」


先生はニコニコしながらそう言った。


蟻の社会も人間の社会も一緒かあ。何か、印象的な話だったなあ。


「あの先生の授業 面白いね」


ジュリアは教科書をたたみながら、隣の席に座っていた女の子にそう言った。


「あ うん ツバキ先生の話面白いよね」


「ツバキ先生?」


「うん 男子はみんなツバキンって呼んでるけど女子はツバキ先生って呼んでるの」


いや、そういうんじゃないけど。その子は、そのまま他の先生の話をし始めた。