0016 葛飾 ジュリア 蛹 編 (91/91)

「今日からウチのクラスに編入した葛飾さんだ」


先生はそう言うと、ジュリアに白いチョークを渡してきた。あ、やっぱり名前を書くのですね。


カッカッ カ


ジュリア、黒板で書く字へたくそなんだよなあ。そんな事を考えながら、黒板に自分の名前を書く。


書き終えてから、振り返り、クラスの生徒達を見た。


うわ、シーンとしてる。こんな大勢の前に立つのって、やっぱ緊張するなあ。


「は 初めますて」


やべ、ちょっと噛んだ。


「ぷっ」


クラス中から小さな笑い声が聞こえた。うわあ、笑われた。超恥ずかしいんですけど。


けど、ジュリアには目的があるんだ。リュウオウ様にいい所を見せなきゃ。


「ふう」


小さく息を吸って、頭にリュウオウ様の姿を思い浮かべる。


浮かぶのは、あの小さな背中。まるで、蛹(さなぎ)の様な。



記憶の景色から、ジュリアの脳裏に言葉が浮かぶ。



蛹を破り、蝶は舞う。



どこかで聞いた、不思議な言葉。



「葛飾アンジュです」



黒板に書いた名前は本名の葛飾アンジュ。



ジュリアはお気に入りの源氏名。



ジュリアの本当の名前はアンジュ、葛飾アンジュ。