0004 目黒 マサカズ (27/29)

結局、若者と俺は、その後ありとあらゆる恥ずかしいことをさせられた。全部あの女の携帯のムービーに入っている。


ルシエはキャッキャッと小鬼のように笑いながら、ムービーを撮っていた。


全てが終わったのは深夜。


いい加減飽きた様子のルシエは、若者のビニールテープを俺に切るよう指示をした。そして若者に言う。


「テープはほどくけど抵抗したら この男がお前をさらにひどい目に合わせる 別に警察に行ってもいいけど 行ったらこのムービーをお前の友達や家族やネットに送る それに お前の罪も必ず立件させる お前もただじゃ済ませない」


それを聞いた若者は、テープを解いてもおとなしかった。恐怖もあったろうが、もう疲れたのだろう。


「お前が何かしたら お前の家族に迷惑がかかる」


ルシエは最後にそう言い残した。トドメの一言だろう。


腕を縛るテープだけを残し、さらに布で目隠しをさせて若者を助手席から出すと、車を走らせる。


目隠しは改めてナンバープレートを見せない為だ。恐らく拉致した時には見られていない。


バックミラーから目隠しをされ、下半身丸出しで呆然と立つ若者が見える。


ああ。あの時はそんな余裕も無しに逃げたが、あの時のルシエもこんな感じだったのかな。



ルシエは、それから悪魔になったんだ。



多分、あの若者は警察には行かないだろう。俺としてもぜひ行ってほしくない。俺も捕まるし、あんなムービー誰にも見られたくない。



もう、何も考えたくない。



多分、若者も俺も、あの日、山に捨てたルシエも そう思ったんだろう。俺はただ車を走らせ、ルシエは後部座席で黙っている。