0016 葛飾 ジュリア 蛹 編 (72/91)

リュウオウ君。リュウオウ君。


「リューオー君」


彼に聞こえないくらいの小声で、ジュリアはそうつぶやいた。


ほんの遊び心。


リュウオウ君にジュリアの声がバレるかバレないかの、小さな駆け引き。


「リュウオウ君 リュウオウ君」


ほんの少し声を大きくしても、まだバレない。


「リュウオウ君 リュウオウ君」


次第に声を大きくしていくと同時に、君付けで呼ぶ事に飽きを感じる。自分でも何考えてるのか、何がしたいのか分からなかった。


「リュウオウさん リュウオウちゃま」


ジュリアは、ジュリアはリュウオウ様のだよ。



「リュウオウ様」



「え?」



「あっ」



リュウオウ様が振り向いた。



「何?」



気まず!



「いや 何でも無いです」



「そう」



リュウオウ様。



うん。なんか、リュウオウ様って呼ぶ方がしっくりくるな。



これからは心の中だけ、リュウオウ様って呼ぼ。