0015 台東 フジコ (10/58)

肌寒い都内の駅前。


交番の前で待ち合わせ。


おまわりさんに道を尋ねる人を見ていると。



『 キュイ──ン 』



SCMが鳴った。


『 キュイ──ン 』

『 キュイ──ン 』


3度のアラームの後、あたしの目の前に立ったその人は。


獅子の様なタテガミの獣だった。


「HUJIKOさん?」


HUJIKOは私のハンドルネーム。


英語にした、特に意味は無いけどキーボードで打つ時に便利だから。


「冬のジャマイカさん?」


それが彼のハンドルネーム。



一目惚れだった。



スローモーションと心臓をアッパーされたようなドクドク。



私の遺伝子が叫ぶの。彼が欲しい!って。



何これ。



好き過ぎて死ねる。



私達はそのままホテルに泊まり、愛し合った。



そして約束したの。



愛し合った後に、勝負をしようって。



絡み合う舌の先で、歯の裏のSCMをチロチロと舐め合ったのをよく覚えている。



刺激と愛を同時に手に入れた気分。



幸せな時間だったあ。



彼を奴隷にしたらどうしよう。彼の奴隷になったらどうなるんだろう。



どんな勝負をしよう。



けど彼さえいれば私は、もう。



そんな妄想の中、私は彼の胸元で眠った。



そして目覚めた朝、私の隣に彼はいなかった。