0015 台東 フジコ (5/58)
5人。
「主人を入れたとしても情報より少ない」
私がそう言うと、杉並さんが小声でささやく。
「リュウオウ本人は来ていません」
「そうね 予想はしていたけど つまらない人」
自分だけ安全な場所で傍観(ぼうかん)でも決め込むのかしら。
「主人がいないと まとめて奴隷にできない」
杉並さんは独り言の様にそう言って、向こう側の人間達を見ていた。
「まあいいわ」
プールを挟んだ向かい側同士。
5人 対 5人の計10人。
私達は揃った。
いよいよリュウオウ派閥との決戦。
けど、こんな時でも私は夜空を見上げ、あんたを想う。
ああ。早く会いたい。
あんたに会いたい。
今ある全てはあんたの為。
今している全ての事は、あんたへのみやげ話。
あんたの心に消えない傷を作りたい。食い込みたい。
目を瞑ると、灼熱のドス黒い蛇が私の心でウネるの。
今のあたしにはあんた以外の人間なんて、本当はどうでもいい。