0015 台東 フジコ (2/58)

夜の小学校。


5月に入っても、夜の風は平気で私達の肌を冷やす。


私の前に広がるのは、まだ水が抜かれていない小学校のプール。


空には星たちが点々と弱い光を放っている。


東京でも星が見えるのね。


「はあ」


私は白い息を吐いた。


ここは都内西区の街で、緑が目立つ地域。


ニュースとかでよく言っている閑静(かんせい)な住宅街にある小学校って感じかしら。


もう一度、遠くの街灯の光できらめいて揺れるプールを見る。


闇の中では分かりにくいけれど、夏場から抱えた落ち葉や汚れで水面は濁っていた。


私は目を瞑り、鼻から目前の闇のプールの匂いを吸い込んでみる。


わずかにザリガニみたいな、生臭い匂いがした。


「ふふ」


思わず笑いながら、下を見る。



「目黒さん 重い?」



「い いえ」



私のお尻の下には、私の奴隷の目黒マサカズさんがいる。


彼には今、イスになってもらっていた。