0004 目黒 マサカズ (12/29)
ほら もう 時間になるぞ。20分だ。
俺は時計片手に、ルシエを見ながら言ってやった。
「終わりだ」
ヂャララララララララ
次の瞬間、ルシエが台のメダルの受け口に向かって、隣のスロットの上に置いてあったドル箱を逆さまにした。
ドル箱からは大量のメダルが流れ落ちる。
「は?」
ルシエの突然の行動に、俺は頭が真っ白になった。
ドル箱から出たメダルは、明らかに500枚を越えている。
「な 何やってんだよ!」
「残ったメダルって言った」
ルシエは俺の目を真っ直ぐ見ながら言った。
「ああ?」
「20分で稼いだメダルじゃない 20分たって残ったメダルの数って言った」
最後に残ったメダルの数。こいつ、だから予め隣の台の上に万両のドル箱を用意してたのか。
「事前に持ってたメダルが 駄目なんて言ってない」
たしかに言った。が。
俺は立ち上がり、ルシエを指差す。
「て てめ!イカサマだろ!そんなの通じるわ 」
『 カチッ 』
ハッキリと、口の中から音が聞こえた。
その瞬間、俺の鼓動がドクンと鳴り、緊張した時のように喉が乾く。
「乱暴しないでよ 警察呼ぶよ」
ルシエの言葉に、俺は反射的にルシエから体を遠ざける。
怖いって思ったんだ。
「す すみません」
自分でも信じられないが、俺は思わずルシエに謝った。