0014 大田 ユウガ (52/60)

「エイア!」



僕はエンジンをかけ、ズシオウマルが乗り込んだのを確認してから車を発進させた。



「グオア!ガウ!」



直後に、後部座席からズシオウマルのキバが飛び出る。


「うわ!」


「ズシ!」


「ガア!グア!」


ズシオウマルは僕を噛み殺す勢いだった。


「うわ!こわ!」


そうだ!僕からズシオウマルに対する奴隷の縛りは切れた!


ズシオウマルは今、エイアの奴隷に切り替わったんだ。


フロントミラーから見えるエイアは、サングラスを外し、ニット帽を取った。


「ズシ!めっ!」


サラサラなツートンの髪の毛が車内にいい匂いを振り撒く。


ほとんど見ていなかったけど変装していたんだ。


「グルル」


エイアのお陰でズシオウマルはおとなしくなった。


ズシオウマルは随分と僕を恨んでいたようだ。


まあ無理も無いか。


「本当 苦労させんなバカ」


エイアがフロントガラス越しで僕を見てそう言った。


「ごめん」


エイアだ。本物の。


やばい、なんか安心して泣きそ。


「頭のおかしい奴が台東って知ってるでしょ?」