0014 大田 ユウガ (3/60)
「あんたは 」
僕の問いに、女の鼻からわずかに息が漏れたのが分かる。
直感で、ニヤリと笑った気がした。
「私は頭がおかしい人です」
来たよ本物。
やっぱり女だったのか。
女の声は20代くらい、多分右利き。SCMを着けている。
満員電車だが、彼女は少なくても片手を使えるようだ。
そうだ、なんか嗅いだ事のある、甘い香水の匂いがすると思ったら。
ぼんやりした記憶から、その匂いの記憶を根本から引っこ抜いた時、僕は焦った。
あの手紙。
頭のおかしい奴から届いた、あの手紙に付けられた香水の匂いだ。
くそ、うっかりしていた。
僕は全てを疑った。
僕は昨晩、アヤカの家にいた。
ここしばらくの間、アヤカの家に泊まっていたんだ。
今朝は車と着替えを取りに、自宅に帰ろうとしていた。
ちなみにアヤカのパンツを履いているのは、単なる興味本意なんだ。
アヤカの家の棚に入っていたサラサラのパンツを見つけて、ふと思った。
これ履いたら、僕どうなっちゃうんだろう、って。
結果、早朝の満員電車の中でこんな状況になった。