0013 品川 ゼロ (20/103)

「待っててくれたの?」


「うん 朝からいた」


母親は子供が朝からフラフラ外にいて、不安にならないのだろうか。


父親が大変だから、それどころじゃないのかな。


そう思いながらも、僕はカバンから例の器具と僕が好きなお菓子を取り出し、少年に渡しました。


少年と会う前に、コンビニで買っておいたお菓子です。


「はい これ」


少年は黙って器具とお菓子が入った袋を受け取り、器具を色んな方向から眺めています。


壊れていないか確認してる様子です。


やましいことはないけど、早めに去った方がいいと思いました。


「じゃあ 僕はこれで」


僕は自転車にまたがって、ペダルをこごうとしました。



「待って!」



すると、少年が僕を呼び止めました。


今までの落ち着いた様子とは一変した、慌てた様子の少年の声にビックリして自転車を止めました。


まずい。やっぱり壊れてたかな。


「どうしたの?」


僕が少年に振り返ると、少年は器具を眺めながら近づいてきました。


そして、僕に器具をかざしながら言います。



「これはSCM」



「あ うん」



確か昨日の朝もそう呼んでたな。



「これでパパは 頭がおかしくなっちゃったんだ」



「え?」