0003 杉並 ルシエ (26/32)

「え?じゃあどうしよう」


困った様子の男。確かにどうしようもない。


けどここに居続けるのも、男の部屋に行くのも危険というか普通に嫌だ。


「少し 歩きません?」


あたしの提案に男は承諾し、その道をそのまま歩くことにした。


「あの 話って」


あたしは自転車を押しながら、男に訪ねる。


「あ ああ まず僕は勝負をする気は無いんだ」


うん。1回聞いた。


「俺はこのSCMを手放したいんだ」


「え?」


男の話を要約すると、この男も興味と安価からネットオークションでSCMを購入したそうだ。


しかし、説明書とネット上の『あるブログ』を読んで恐ろしくなったらしい。


「ブログ?」


「SCMのブログ 知らないの?」


「はい」


ちなみに、SCM所有者のサイトの話はしなかった。この男は知らないようだったし、あわよくば情報を一方的に頂こうとした。あたしは意外にずるい自分の一面を知った。


「SCMによって 主人と奴隷になった男女の話が載ったブログなんだけど」