0012 墨田 ズシオウマル (2/71)

私は人間だ。



厳密には私は人間だと思い込んでいた。


犬として生まれ変わる前、私は人間だったはずなんだ。


私の名前は墨田ズシオウマル。


私には探す人間が2人と、会いたい人間が1人いる。


探す人間の1人はアンジュ。


私の姉だ。


人間だった私には人間の姉がいたのだ。


アンジュという名の姉がいた。


姉と私は、とある村で生まれ育ち、母と3人で暮らしていた。


だが母と姉は人飼いに連れ去れてしまった。


私は人間なんだ。


エイアが言うのだから間違いない。


エイアは会いたい人間だ。


エイアは私の初めの主人だ。


だが、私はアンジュを見つけ、断腸の思いでエイアの下を離れた。


そう、散歩中に見つけたんだ。


姉のアンジュを見つけたんだ。


エイアの父上と、朝の散歩中。


「おはよう アンジュ」


私は見つけたのだ。


学友に、アンジュと呼ばれた女子高生を。