0002 渋谷 サチ (16/18)

ウチの言葉を聞くと、タキオは満足そうに説明書を手に取り続ける。


「とにかく勝負に負けたお前は 今日から俺の奴隷だ 分かったな」


「はい」


タバコを吸えて、少し胸の中のイライラが収まったわ。


「お前彼氏は?」


「います」


「別れろ」


ウチの脳裏に、彼氏の顔が浮かぶ。


だらしなくてイライラするけど、たまに  。


「はい」


「仕事はあれだけか?」


「はい」


あれとはキャバクラのことやろ。


「昼は?」


「学生だけど あまり行ってない」


タキオはタバコを灰皿に押し付けた。


「そうか 今の月収は?」


「えっと 月換算だと40万くらいです」


ウチがそう言うと、タキオはニヤリと笑う。なんか、我慢しててもニヤケるようないやらしい笑い方やけえ、サブイボ立った。


「ほう 生活できるギリギリの金額は?分かってると思うが正直に言えよ」


ウチは頭の中で、家賃や光熱費、食費と携帯代を考えた。


「15万くらいです」


「つまり20万以上は俺に渡せるな?」


そうくると思っていた。


「はい」


「じゃあ俺に月々20万よこせ」


そんなセリフ、初めて生で聞いたわ。


「分かりました」