0009 中野 タイジュ (65/65)
そうか。
そのリュウオウって奴は車の中での会話を、ジュリアの携帯で聞いて、中央の携帯に指示を出していたのか。
リュウオウは、ジュリアの携帯から今までの全部を監視していたんだ。
くそ。マジ気分が悪い。
シヲリさんも半口を開けて俺に顔を向けている。
俺達が何か言うより先に、中央が俺とシヲリさんに言う。
「まあ気分は良くないと思うが ヘタな事言うなよ?今この瞬間の会話もリュウオウは聞いているからな」
中央が俺達にそう注意すると、次に自分の携帯を見た。
「ジュリア 中野くんに電話を変わってやれ」
「へ?」
ジュリアが不思議そうに中央を見る。
「リュウオウが中野くんと話したいって」
中央がそう言うと、ジュリアは理解した様子で俺の顔の横に携帯を近づけてきた。
俺が黙っていると、電話の向こうから声が聞こえる。
「もしもし 中野?」
初めて話すのに中野って呼びつけかよ。まあ、下の名前は教えてないから仕方ないか。
「ああ」
「君の主人のリュウオウだ」
この高い声。
リュウオウは女なのか。
リュウオウって名前から、男だとばかり思っていた。
俺の思考とは関係無しに、電話の向こうのリュウオウは話し続ける。
「ねえ 貯金はいくらある?あと女装ってどんな気分?」
「は?」
なんだ、こいつ。何で貯金とそんな下らない質問をしてくる。
何者だこいつ。
俺とシヲリさんは、こんな訳の分からない奴の奴隷になったのか。