0009 中野 タイジュ (57/65)
中央はいつの間にか眼鏡を外していた。
眼鏡を外した中央はだいぶ若く見える。かけていた時は三十代に見えたが、外した顔は二十代後半に見えた。
「審判もいない 観客もいない 天才でもない者同士が勝負するんだ 凡人同士の戦いはグダる可能性が十分ある」
中央に続き、ジュリアも話し始める。
「その為に勝負を無理矢理終わらせる救済処置が必要でしょ?」
ジュリアは話し出すと、若干俺の足を押さえる力が緩んだ。
「勝負がグダった際の救済処置 それが敗北感なの」
グダッた時の救済処置が敗北感による判定だと言いたいのか?
「んなもん引き分けや 繰り越しにして勝負をやり直せばいいだろ!」
俺は足元にいるジュリアにそう叫ぶ。
「ジュリアが作った訳じゃないんだから」
ジュリアはそう答えると、中央が続いた。
「まあ引き分けが無い理由もあるんだろうが 今の俺達には引き分けが無い方が好都合だ」