0002 渋谷 サチ (14/18)

「少しだけ教えてやるよ」


タキオは片手にタバコ、片手に説明書を持ちながらウチに話し始めた。


「これはSCM スレイブコントロールメソッドって言うんだ」


自分の口を開け、煙を吐きながら言うタキオ。


「ほあ」


どうやら口の中のSCMを見せたいらしいが、よく見えんし。


「はあ」


そういえば、SCMって箱に書いてあったな。


「このSCMはな 勝負をして 負けた奴を勝った奴が奴隷にすることができる機械なんだよ」


タキオは興奮した様子で、タバコを灰皿に強くこすり付ける。


「は?」


「は?って何だよ!お前は奴隷なんだよ!」


「すみません」


布団にくるまるウチ。


「想像の奴隷とはなんか違うな 今どんな気分なんだ?」


どんな言葉でも、ウチは即座に返す。


「なんか 緊張感というか あなたが怖いというか 不思議な感じです」


ウチの言葉に、タキオは黙ってまたタバコに火を点ける。


ああ、タバコ、吸いたい。


「ウチも吸っていいですか?」


ウチの要望に、タキオはまた説明書を読んだまま答える。


「駄目だ 吸うな」


「はい」