0009 中野 タイジュ (37/65)
雰囲気的に、どうやらジュリアは本気で気付かなかったらしい。
こんな緊迫した場面で、そんなミスが起こるなんて、今まで見た映画や漫画には無かった。
「くそ」
中央は狭い道にも関わらず、車のスピードを上げる。
俺はジュリアのミスに、心底呆れていた。
反面、その緑のSCMが何者かが気になる。
ゼンイチに近づく目的は勝負だろうか?
「あ」
ジュリアがまた声をあげる。
嫌な予感がした。
「今度は消えた 赤と緑」
は?
「まさか 勝負が始まったんじゃ」
自分で言いながら確信した。
そうだ。それしか考えられない。
赤のゼンイチと、謎の緑の人物が勝負を始めてしまったんだ。
「シヲリさんは?」
俺は思わずシヲリさんの名前で、ジュリアに聞く。
初めてシヲリさんの名前を使ったが、空気的にジュリアは分かってくれたようだ。
「反応してる もう すぐそこのはずなんだけど」
ゼンイチがそう簡単に負ける訳は無いが、俺がせっかく大覚悟を決めてジュリア達と契約した賭けが、全て無駄になる恐れを感じた。