0008 足立 シヲリ (47/55)
明りの多い駅前から数分歩くと、次第に暗い住宅街にさしかかる。
「あ 犬」
中野ちゃんの声に、夜道の先を見ると、向こう側から1匹の犬がこちらに歩いていた。
飼い主のいない野良犬に、一瞬警戒して緊張感があったが、その犬はトボトボと落ち着いた様子であたし達に近づいて来る。
「へえ 野良犬のわりにはおとなしいね」
あたしは、持っていた居酒屋の残りの唐揚げを取り出す。
普通の犬ならガッツくが、その犬は鼻を鳴らしてあたしに近づくだけだった。
野良犬は尻尾を振りながら、あたしの手のひらにある唐揚げを食べ始める。
結構大きいな。多分、秋田犬?雑種っぽいけど日本の犬って感じ。
「なつかれたら 面倒だな」
レイバンの一言で、イラっとした。
「ペットショップの子犬は良くて 野良犬はダメなの?」
あたしはしゃがんだ体勢で、立っているレイバンを見上げる。
「いや そういう訳じゃ」
レイバンが弁解しようとすると、オデが犬の首を見ながら言う。
「こいつ 野良じゃないな」