0008 足立 シヲリ (45/55)
確かに今は勝負の最中。
宅飲みするなら、つまみは新しくお菓子でも買わせればいい。
けどあたしは、頼んだ料理を残すなんて、もったいない真似をしたくない。
たとえそれが、奴隷になるかならないかの勝負の最中でもだ。
男達は会計しに行ったが、中野ちゃんはあたしと卓に残って、残り物を包むのを手伝ってくれた。
居酒屋で料理を包んでもらう度に、幼い頃に父が飲みごとから帰ってきた時に、持って帰って来てくれたおみやげを思い出す。
父が持って帰る、居酒屋の卵焼きや唐揚げは、とてもおいしかった。
残り物を包み終わり、あたしと中野ちゃんはレジに向かう。
男2人はすでに会計を済ませ、イスに座ってあたし達を待っていてくれた。
「ありがとうございます」
あたしは頭を下げ、中野ちゃんもあわてた様子で続けて頭を下げた。
「いや いいけど なんかおごられ慣れてない?」
オデの疑問に、あたしは居酒屋のドアを開けながら
「いや 男には滅多におごってもらわないよ」
「あたしも」
あたしの発言に、中野ちゃんも続く。
「えー?中野ちゃんはおごられまくりでしょー?」
「いやいやいや 全然!」
いやを3回言ったよ。声もガラガラだし、酔ってんのかな。