0008 足立 シヲリ (41/55)
自分より男らしいと思って付き合っても、束縛は激しいし、付き合っているのにあたしを信用しないで、家の前であたしを待っていたりする。
挙げ句、別れた際には泣き顔を見せ、別れた後もポストに泣き言をつづった手紙を入れられた事もあった。
『黙ってたら可愛いのに』なんて言われた事もある。
「足立さん ビール来たよー」
初対面の年上の男の子に、さん付けで呼ばれるなんて本当は嫌だ。
あたしが求めているのは、爽快で男らしい男の中の男。
なんか、覇王って言葉が似合う男がいい。
Sっぽい姉御って言われるあたしだって、男らしい王子様に、お姫様みたいな女の子らしい扱いをされたい。
あたしだって、誰かに甘えたいんだ。
誰にも言っていない、そんな心の欲求が、あたしに姫様カフェなんて仕事をさせたんだろう。
「足立さん 酔ってんの?」
「え?」
レイバンの言葉で、あたしは我に帰る。
「あ いや ビール1杯じゃ酔わないよ」
「それ 3杯目だよ」
「え?」
確かにあたしの前には、空いたジョッキが2つ並んでいる。
黙々と飲んでいるあたしに、男たちが気を使ってさらに注文してくれたようだ。