0008 足立 シヲリ (24/55)

「負けたいの?」


あたしの発言に、中野ちゃんは切れ長な目を真っ直ぐに向けて言う。


「自分を負かせた人だからこそ その人の奴隷になりたいんです」


ああ。少し納得してしまった。


そりゃ、自分より情けない奴の言うことなんて、何も聞けないし納得できない。


確かに、自分よりも確実に優れた者だからこそ、着いて行きたい気持ちは分かる。


あたしはふと、そもそもSCMが勝負を要する理由にも、納得してしまった気がした。


互いに、どちらが優れているかを比べるのか。


「ていうか なんであたしがいいの?」


あたしは残り少ない紅茶を一口飲み、タバコに火を着けた。


「だって足立さん すごくきれいだし 賢そうでおもしろいし」


中野ちゃんは恥ずかしそうに、あたしから目をそらして言う。


あたしが男だったら、喫茶店だろうが抱きつくんだろうなあ。


そんな事を考えている時点で、おっさんみたいなあたしは誰にも抱きつかれないんだよなあ。


あたしも結構モテるんだよ?変態とか女の子に。