0008 足立 シヲリ (3/55)

「この方に コーヒーを恵んであげてちょうだい」


「かしこまりました シヲリ姫様」


執事はそう言って、店内の奥に消えて行った。



ここは、お姫様カフェ。



メイド喫茶や、執事喫茶に続く、新たなイメプレ喫茶だ。


イメージの題材は、お姫様。


女の子が好きそうな豪華でキラキラした花柄ばかりの店内に、髪の毛をグリングリンに巻き、ロッリロリなドレスを着た女の子が接客をする。


接客と言っても、あたし達は客に対して、かなり上から目線の、上品な口調で話しかけなければいけない。


「いらしたの?座ってもよろしくてよ」


「お紅茶?コーヒー?」


「うまい棒?どなたかしら?」


何か都合の悪いことを聞かれた時は、こう言う。


「俗世の事はどうも うとくて」


笑う時は、手の甲で唇を隠して。


「ぅふふふふ」


初めはおもしろかったが、あたしはどうも肩がこるというか、本来の性格や趣味とかけ離れ過ぎて、お姫様キャラは何か合わない。