0008 足立 シヲリ (2/55)

あたしは今、姫様カフェという店で、キャストのお姫様として働いている。


客が来たら


「あら いらしたの?」


あたしはそう言って、バラが飾られているテーブルに置かれた、真っ白な受け皿に花のティーカップを重ねる。


豪華なシャンデリアに照らされ、壁際には花柄のソファーや、木製のインテリアクローゼットがある店内。


壁の模様は、白と淡いピンクの花柄で、床もフカフカのペイズリー調の花柄カーペット。


とにかく、全て花。花。バラ。


入って来た客は、そんな店内の様子を見回しながら、座ったままのあたしの前に立っている。


あたしは、わずかにアゴを動かして向かい側のイスを差した。


「そこに座っても よろしくてよ」


あたしの言葉に、客はニヤニヤしながらイスに座る。


「お紅茶にします?それともコーヒー?」


「あ じゃあコーヒーで」


客は両手を膝の上に置き、肩を狭めて恐縮しつつも、相変わらずニヤニヤした様子でそう答えた。


パン パン


あたしは両手を挙げて、手を叩く。


レースの手袋をしているから、鳴りにくい。


あたしが手を叩くと、執事の格好をしたおっさんが近づいて、床に膝を着けてダウンサービスをする。