0007 新宿 セイヤ (4/36)
一緒に見えるホストたちの営業スタイルにも、それぞれ細かい違いがある。
俺は仕事とプライベートは分けるようにしてきたが、彼女とアヤカだけが、俺に仕事を忘れさせる2人だった。
俺には彼女が必要だった。
アヤカは俺が必要だった。
必要とする者も、必要とされる事も、俺には捨てがたいことだったんだ。
エースでもあるアヤカは、一月で金を使い過ぎて身も心もボロボロだ。絶対に次の月からは、ほとんど使い物にならなくなる。
翌月の決算で、俺はNo.1から降格する可能性が高かった。
風俗嬢とはいえ、アヤカ1人にそこまでさせた俺はホスト失格だと思うし、No.1を維持するプレッシャーも手伝い、スランプになった。
けど、そんな中で本命の女と行ったジャマイカの海が俺を変えた。
熱い浜辺で酒を飲みながら、女と見たジャマイカの海は、涙が出るほどキレイだった。
輝き透き通る海と、潮風で乱れた髪の彼女の横顔を見た時。
彼女の為にならホストを辞めても、アヤカを失ってもいいと思った。
俺は彼女のおならですら好きだった。
ぷうっと疑問系に鳴る彼女のおなら。
頬を赤く染め、恥ずかしがるあの子の姿が妙に印象的に残っている。
そして美しい自然に囲まれたジャマイカから帰った、その日の夜に、早速アヤカが手首を切ったと報告してきたよ。