0007 新宿 セイヤ (3/36)

泥酔して、トイレで泣きながらホストを辞めようとした時や、仕事の努力が実を結んで泣いた日もある。


その泣いた日のほとんどを、アヤカと過ごした。


アヤカの前だと、俺は素になれた。


だが、努力が金に変わり、俺はきっと調子に乗っていた。


そして、アヤカとは別に、色恋をかけたある女と付き合ってから、俺はその子を愛し過ぎるようになる。


彼女は俺のホストとしてのルールや、心をいい意味で壊し続けた。


反面、本命の彼女ができた事に罪悪感を感じるほど、俺にとってアヤカは大きな存在になっていた。


ホスト以前に遊び慣れた男なら、遊びの女をどう置くかなんて熟知しているはずだ。


ほどよい距離を保ち、情を抱かず、バランス良く金を使わせる。


体の関係を持つこともあるが、俺は体の関係を売りにはしない。


枕は、祭にある当たらないくじ引きの、賞品みたいなものだ。


たまーに当たる。当てられても、うまく相手を口車に乗せて、賞品を与えなかったりもする。


可能な限り、模範的な営業をしてきたつもりだ。


けど俺のそんなルールをぶち壊す女の存在が、同時に2人現れたんだ。


アヤカには、俺の心を見せ過ぎていた。


そして俺もアヤカの心を見すぎていた。