0001 港 タキオ (19/19)
次は僕の番だが、落ち着いてやる、やっつけゲーム。
それが良かったのか、さらに用意したグラスに置き直した1円玉は無事にやり過ごした。かなり冒険してやった為、また穴だらけになったグラス。
次のジュリアは、穴だらけになった紙で1円玉を落とす。
結局、俺と友人のサシになったが、友人はやっつけの様にタバコを紙に押し付けた。
当然1円玉はこぼれ、ゲーム終了。
その頃にはみんなつまらなそうで、1円玉がこぼれても「あー」と小さく声がしただけだった。何万回もして飽きたゲームの様に、活気を無くしたその場。
考えてもみれば、4人でやるのに1人負けてから残りの3人が引き続きゲームをやる事が微妙だ。
思い付きで行うゲームはこんな矛盾や腑に落ちない結果が待っている。
友人が負けた瞬間、僕の口の中のSCMから
『 カチッカチカチ 』
という音がしたことに、今度は確かに気付いた。
「で 罰ゲームは?」
ジュリアの言葉に、僕は負けた景色のキャバ嬢になんとなく真顔で言う。
「やらして」
無表情の景色のキャバ嬢に、面と向かって言ったセクハラ。横でジュリアが「はー?」と言い、笑う友人の声が聞こえた。
そして景色のキャバ嬢は真顔のまま。
「はい」
と言った。