0006 豊島 アヤカ (52/64)
「ね ねえ セイヤ」
「ああ」
あたしは驚いた顔のセイヤに体を寄せる。
緊張で乾いた喉に、唾を飲み込んだ。
「あたしを裏切ったり してないよね?」
他にうまい言い方は思い浮かばなかった。
ユウガもエイアも、とても真剣な顔であたし達を見ている。
勝負の途中で、何言っているんだ、って思っているかもしれない。
けど、そんなのどうでもいい。
あたしにとって1番重要なのは、ユウガやエイアを手にいれることじゃない。勝負の勝敗でもない。
SCMでセイヤと夢を見続ける事。
あたしの質問に、セイヤは子供の様に澄んだ瞳で答えた。
「いや してないよ」
SCMは嘘をつかせない。
あたしの脳裏に、その言葉がよぎった。
あたしは熱く重い息を吐き出し、下を向いて言う。
疑って 「ごめん」
あたしが、そう言うと、セイヤはあたしを見ながら「いや」とだけ言った。
セイヤは裏切りを否定したけど、あたしの心には今もまだ重いものが残っている。
そして、疑っただけで、この場がものすごく気まずい空気になった。
もう、よく分からない。
何を信じたらいいのか。
何もかもが、分からない。