J000 世田谷 ツバキ (36/135)

「いいでしょう」


「勝てる見込み、あるの?」


フジコの眼鏡が僕の姿を捉えた。


「前向きに考えます。全員が一同に集まるという、こんなチャンス。今後無いことでしょう? 葛飾さんが作ってくれたせっかくのチャンスですからね」


葛飾アンジュを見る。荒川エイアとリュウオウの間、少し後ろで凛と澄ましている。


小さな胸は小刻みに呼吸し、辺りの光景をなるべく視界に捉えようとしていた。


不安なんだね。


鳥にも獣にも成れず、コウモリに捕食された蝶。


1人で戦っているようなもの。


彼女の動向を見れば見るほど、彼女の顛末に興味が沸く。


「目の前の壁をぶち壊すのみ、か」


中央アタルがそうつぶやいた。


僕が自身のSCMを取り出したのと同時に、荒川エイアもSCMをあらわにした。


彼らの奴隷たちにはSCMをつけさせない。Jの予防か。


「フェスマッチの頂点に立った者が、すべてを束ねる」


大田ユウガがそう言った直後、僕たちはSCMを装着した。



『──ュイーン、カチッ』



勝負は間違いなく、開始された。