J000 世田谷 ツバキ (3/135)
「──以上です」
「振り向くな。あんたの話も興味深いが、まずその鍵をポケットにしまえ」
ここは駐車場。高校の。
時刻は19時。6月に差し掛かり、辺りは明るい。
僕はボンネットを見つめたまま、手に持ったキーを、後ろの彼へ向けた。
「中央アタルさん、でしたね」
彼の隣には、もう1人いる。
「江戸川リュウオウの命令ですね。そこにいるのは足立シヲリさんですか?」
彼らは何も言わず、僕の背中に突きつけたそれを、さらに押しつけた。
「また改造銃ですか? 今度はあなたの手が吹き飛ぶかもしれませんよ?」
「J-SCMとやらを渡せ。さっき外したのは分かっている」
「あなたもSCMを外していますね。僕のJを恐れているんでしょう」
僕は肩越しに見える中央アタルを見た。
「それが正解です。あなたたちのSCMは、リュウオウくんが持っているんですか?」
彼は僕の耳を掴んだ。
「耳を後ろから前へ引き千切ると、簡単にそれができる。そんなに人の話が聞きたくないのなら、聞かなくていい」
その手は、6月の気候のように汗ばみ、じっとりとしていた。
うん、僕も緊張しているよ。