0022 江東 キヨ (20/34)

名前はゼロとシンノスケ。


墨田の下の名前を思い出したんだ。


あいつの名前は墨田シンノスケだった。


いつか、何かの拍子でこの子たちの存在に気付いたら、墨田の胸にグッと刺さる名前が良かった。


まぁ単なる嫌味もあるけれど、どこか無意識で、父親との小さな絆を、この子達に与えようとしたのかもな。


一瞬早く生まれた長男には、シンノスケと名付け、弟にはゼロという名を付けた。


ゼロという名は、誰にも迷惑をかけず、生きて欲しかったから。


マイナスでもプラスでもない、ゼロになって生きて欲しかった。


母親失格だけど、それが本心だった。


適当過ぎると母ちゃんには怒られたけど、自分のなかでは、気に入っていた。


おれは母ちゃんが住むアパートに住み、女手2つで、この小さな怪獣たちを育てた。


成長するにつれて、似た顔の2人にも個性が見えてきた。


兄のシンノスケは大人しく、お絵描きと機関車が好きだった。


弟のゼロは一見、スーパーボールが好きなやんちゃ坊主だけど、ときどき見せる興奮気味の瞳に、おれの父親の片鱗を見たんだ。


母親のおれにもばあちゃんにも、何を考えているか分からない節が多くあった。


そして、双子の息子達は仲が悪かった。