0022 江東 キヨ (18/34)
「あなたの身体には、命が3つもあるんです」
子供は嫌いなのに。産む気なんてないのに。この血は絶やさなきゃいけないのに。
「うぅ、ぁあ」
誰にも、誰にも言わずに、1人でいつか死のうと思っていたのに。
自分1人でもいっぱいいっぱいで、ぐちゃぐちゃになりそうなのを、サランラップみたいな薄皮一枚のところで、ギリギリのところで、保っていたのに!
命が3つ。重い、重いよぅ、重いのにさぁ!
どうしておれなんかのところにきたんだよぅ!
おれみたいな女じゃなくて、もっと違う女の人のところに行けばよかったのに!
なのにどうしておれなんだよ!
誰にも迷惑かけないように生きて、世界にとってプラスでもマイナスでもないゼロの存在になって!
美容師でもしながら金貯めて、気ままに旅行して、誰もおれを知らない世界の果てのドコカで、 野垂れ死んでやろうと思ったのに!
どうして今、この瞬間、おれはそのすべてをしたくなくなってるんだ!
「うぁぁぁ!」
おれは堰を切ったように、ただただ泣いた。
産んだよ、結局。