0022 江東 キヨ (2/34)
外は暑いから、あの子に水筒を持って行かないと。
おれの罰は死んだ事。
おれの罪は──。
産むはずじゃなかった。
おれは女に産まれたくなかったんだ。
そして人の親になる筈もなかった。
一生の内、何度自分の股間を覗いた事か。掻き毟った事か。
無いんだ、そこに証が。
どんなに屁垂れた野郎でも持っているのに、おれには無かったんだ。
小さい頃は、やがて生えてくるとさえ思ってた。
小さな突起が、大きくなっていくんだと思っていた。
こんな話、人に話すとさ、呆れられるんだ。
何の話してんの?股間?君はバカか?下品だ、間違ってるって。
けどそこに、こう付け加えると相手は納得した表情を見せる。
女のエディプスコンプレックス。
詳しくは省くけど、女性も幼い頃に男性の象徴を求める、っていう心理学の話さ。
別に心理学とか詳しい訳じゃないよ、おれ、頭悪いからさ、学もあるわけじゃない。
ただこれだけ馬鹿の一つ覚えに知ってんだ。説明する時に便利だからさ。
ほら、実際に知らない奴は黙っておれの話を聞くようになった。
それとも帰るかい?
扉は開いているよ。