0006 豊島 アヤカ (10/64)
「けど セイヤのこと恨んでないよ」
セイヤは何も言わない。
「ねえ もう 1回教えて」
「セイヤにとって あたしって何?」
セイヤは怯える子供の様に言う。
「気持ちの悪い 病気のATM」
あたしは生まれて初めて、無意識に熱い涙を流した。
「ねえ セイヤ」
暗い部屋で、あたしは自らパンツの紐をほどき、スカートを上げ、股を広げた。
「舐めて」
「は?」
「あなたの為に 頑張って病気にまでなったこの子を慰めてあげて」
セイヤはあたしの股に顔を近づける。それはもう、嫌そうに顔をひきつりながら。
きっと自分も感染するって思ってる。
あたしはそんなセイヤの顔を見ない為に、目を瞑った。
ああ。セイヤ、いい匂い。
セイヤが近づくと、シャンプーと香水が混ざった匂いがする。
安心してセイヤ。これくらいじゃ大抵、病気は移らない。
何より、C型肝炎になったっていうのは嘘。気を引きたかった。
嘘ばかりついてごめんね。
あたしはセイヤの髪を撫でる。サラサラで長くてキレイな髪の毛。
初めて触れた、あたしより手入れされてる夢の髪。
夢は覚まさない。
あたしはSCMで夢を繋ぎ止める。
SCMで酔い続けるんだ。
セイヤとあたしの物語は誰にも邪魔させない。