0021 千代田 マリヤ (51/85)

生きていたら、丁度目の前でカレーを食い終わったシンノスケくんくらいの年になっているはず。


「そう けど そのお母さんが息子に会いたがってるの 会ってもらえないかな?」


「いや ていうかそのお母さんもさっき死んだって言ってたじゃないすか」


そういやそうだった。めんどくさ。


「は 話はここからなの」


「はあ」


彼は腕を組み、難しい顔でこちらを睨む。


「そのお話を知った何の罪も無い男の子が 自分はそのお母さんだと思い込んじゃったの」


「はあ?」


シンノスケくんは表情を歪め、唇から舌を出す勢いで信じられないという顔を作った。


無理も無いよね。ぼくも自分が何を言っているか分からないもん。けど、もう後には引けない。


その子は心が優し過ぎて、偶然知ったその話に感情移入をし過ぎてしまい、いつしかその母親は自分だと思い込んでしまった。


ぼくはカウンセラーで、その子の母親の面を納得させなければいけない。


「そこでね その死んだ男の子のフリをして欲しいの」


「おいらが?」


キョトンとした顔で自分を指差すシンノスケ。ぼくはアドリブで作ったカヴァーストーリーを、大真面目で説明していた。


自分自身、今にも吹き出してしまいそうになるけど、必死に堪えて。


「その男の子は優し過ぎるの ね かわいそうと思わない?」


シンノスケくんは鼻の周りにシワを作ったまま、ぼくの話を聞いている。


「そ それって……」


「ね 信じられないかもしれないけど シンノスケくんには迷惑をかけないから」


「いや違くて」


ぼくの押しに、彼は首を振る。


「それって 霊の類じゃないんすか?」


は?