0021 千代田 マリヤ (19/85)

近所の人間ではあると思うけど、ぼくが尋ねた彼女はその施設について妙に詳しかった。


それについて尋ねると、彼女は髪を触りながら言ったの。


ここに元彼がいたんです、と。


女子大生にも見えるけど、キャバ嬢が持つ様なブランドもののバッグ。髪の手入れも、金かかってる。


見た目20歳を過ぎたくらい。彼と同年代くらいだよね。


予感めいたものを感じ、ぼくは聞いた。


この施設にいた、品川ゼロという男の子を知っているかと。


彼女は言った。ゼロが元彼だと。


ぼくは彼の叔母。そう告げると、彼女は言いにくいんですけど、と言いながらも彼についてをベラベラと喋り出した。


あんな事をするなんて、から始まり、教えてくれたのは彼が高校三年生の頃の話。


品川ゼロはクラスメイトのサイフを盗んだという。


それ以来、彼に近付く人間はいなくなったと。


そして、卒業直前に火事が起きた。


一時的に入院をしたものの、彼は無事だった。


やがて品川ゼロは高校を卒業し、隣街で1人暮らしをしながら、菓子パンの工場に勤務している。


彼女が知っているのはそこまでだった。