0019 練馬 ヨシムネ (63/63)
「う おえっ」
「ジジイ!」
脳を回転させたような不快感に、胃から突き上がる嘔吐感。
ミナミが肩を支えてくれたが、ワシは胃液を吐き、その場に跪(ひざまず)いた。
ワシはどこかで、エイアの奴隷になる事を望んでいたかもしれんが、これはキツイの。
「500万はもったいないけど練馬さんを奴隷にすれば取り返せる」
ユウガの声。
「それにこうやってインパクトのある負け方をすると 服従の効果が強い気がするんだよね」
自由になったユウガは、ミナミが持って来た電動インパクトを持ってそう言った。
クワンクワンとした頭痛と吐き気を感じる中、エイアの声が鮮明に聞こえる。
「それでは練馬さん…」
初めての命令は。
「彼女を取り押さえて下さい」
孫を捕まえる事だった。
「う っあ!」
逃げるミナミの足を、エイアが転ばせる。ミナミは無様なうつ伏せで床に倒れた。
「ジジイ!止めろ!」
「ハッ ハア」
ワシは這ってミナミに近付き、仰向けになった孫へ覆い被さった。
ミナミも肘や手の平で抵抗するが、身内のワシへ必殺は放てない。
だからこそ、エイアはワシにミナミを襲わせている。
すまんミナミ。
「あぐ じ じっ」
ワシは今ミナミの首を絞めている。
「じい…ちゃ…」
ミナミの頬に、誰かの水滴がポタリと落ちた。
エイアはワシらの下へしゃがみ込み、ミナミの耳元に囁く。
「お祖父ちゃんに殺される?それとも私の奴隷になる?」
「あ ぐっ」
「奴隷になるなら私を見て」
間もなく、ミナミの瞳に微笑むエイアの姿が映った。