0005 荒川 エイア (15/29)
「事の次第によってはぶっ飛ばそうと思ったのに くだらな過ぎて怒る気失せたよ」
私は夜空を見上げながら言った。多分顔は笑っていた。
「子供の頃からいたずらが好きなんだ」
ユウガは笑顔で続ける。
「今日は殴られる覚悟で来たのに 後悔はよくない 今の内ワンパンくらい入れておきなよ」
ユウガはそう言って、シャツをめくり腹を出した。
呆れた顔で罵倒(ばとう)しようとしたが、彼の腹を見て私はビックリした。
彫刻の男性像を思わせる見事に八つに割れた、しなやかな腹筋だった。
その一瞬で美しいとさえ思った。
「あんた凄い体してるね」
「あぁ 筋トレが趣味だからさ ちょっと見て欲しかった」
彼の冗談に笑いながら、そういえば確かにいい体をしていると全体を見る。
「じゅ」
あ、やべ、よだれ出そう。
「ん?どうしたの?」
「いや 何でもない」
私、飢えてんのかな。もう1年くらい彼氏いないし。
その後は、軽い雑談をしてから家に送ってもらった。
それから数日後、全てはユウガの思い通りになった。
道楽には呆れるものがあるが、効果と理由はある。
2人で会った事は、私の友人には言わない事にした。