0018 北 ミナミ (26/67)

「アンジュは何も怖くない」


計りに乗せた髪を見つめながら、アンジュは静かにそう言った。


「あっ」


「なに?」


「うっせ 黙れ」


あーし今、心ん中でジュリアをアンジュって呼んだ。


パチンッ


自分の腿を叩くあーしを、ジュリアが不思議そうに見る。


くそ!飲まれてんじゃねーぞ北ミナミ!


今まで思い通りにしてきたじゃん!


世界はあーし中心に回ってんじゃん!


ジュリアみたいなカスでつまづいてんじゃねーよ!


「覚悟が足りないのはどっち?」


「舐めんなし!」


あーしはそう言って立ち上がり、ペットボトルのお茶を掴む。


キャップを開けてゴクゴクと一気に飲み干し、ビニール袋を持ってトイレに入った。