0017 江戸川 リュウオウ (16/58)
僕は何がしたいんだ。
今更、ママを助けるなんて気持ち、もう薄れているのに。
柵の下の段に座ると、肩と腹にズッシリとした重い物がのし掛かる。
寒くも暑くもない、6月始めの朝。
僕は自分を抱いたまま、その場にうずくまった。
以前、ネットで読んだ。
宇宙のあらゆる熱は必ず冷める。
マグマも沸騰する熱も、灼熱の太陽も、憎しみの感情も。
宇宙のあらゆる熱は必ず冷める。
必然的であったはずの、僕の目的すら冷めていく。
頭の中に色んな言葉が浮かぶ。眠くなる。
蟷螂。携帯。蝶。エリザベート・バードリー。ママ。
記憶の言葉がパソコンのディスプレイに浮かび上がるみたいに、僕の頭の中で乱立する。
桜。1500万。菓子パン。鉄の処女。冬のジャマイカ。
熱とは振動。
全てが凍って、振動すら壊滅する-273.15℃の絶対零度。
僕の中の熱が冷めていく。
訳が分からなくなりそう。
頭がおかしくなりそう。