0016 葛飾 アンジュ 蝶 編 (40/79)

フジコ先生はパイプから肘を離し、腕を組んだ。


「文京ゼンイチが 杉並ルシエを使ってデリヘルをやらせていたでしょ?」


「うん」


「SCMの使い方が1番うまかったのは 実は文京ゼンイチだったと思うの」


「え?」


「彼は曲がりなりにも SCMでビジネスをしようとした」


デリヘルがビジネスだなんて、違う気もするけど。


「SCMの主従関係は 実は会社のシステムに似てる お給料はいらないけどね」


フジコ先生はジュリアから取り上げたSCMを返してきた。


「これを作ったり ばら撒いたりした人は そういった事も意識して ばら撒いたのかも知れない」


ジュリアが胸元にSCMをしまったのを確認すると、フジコ先生は更に続けた。


「でもね 杉並ルシエは不動産業の営業受け付けをする 普通の女の子だった」


杉並ルシエは、一時的にフジコ先生の奴隷になったんだ。


「きっと 目黒マサカズと出会わなければ SCMに出会わなければ デリヘルなんて一生しなかったわ」


人事で聞いていた話だったけど、改めて聞くと重い。


杉並ルシエの人生も、SCMも、目黒マサカズがした事も、文京ゼンイチがした事も。全部、現実で、とても重くて取り返しの付かない事なんだ。