?日目 (6/8)
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蓮見「みーお」
白いカーテン 白い壁 白いシーツ
澪の入院している病室に通うことが俺の日課になっていた。
蓮見「今日はお前が好きなチーズケーキ買って来てやったぞ。
この俺が買ってきたんだ。有難く食えよ?」
澪「……」
蓮見「…澪」
うわの空。
どこも見ていない虚ろな瞳は、俺なんかちっとも映しちゃいない。
心だけが、何処か別なところへ行ってしまっているようだった。
蓮見「あ、そういえばもうすぐ退院だってさ。
そしたら、また学校も行けるし。良かったな」
澪は学校が楽しいと、毎日のように俺に連絡してきた。
友達と笑い合っている写真とかも。
たくさんの友達に囲まれていて本当に楽しそうだった。
最近は…写真見ないけど。
澪「……行きたくない」
ボソッと
小さくか細い声で澪が言う。
久々に聴いた澪の声は、まるで別人のように弱々しかった。
蓮見「行きたくないって…」
澪「…な、なんてね!
入院生活に慣れちゃったから学校が始まるとこうやってたくさん寝たり出来ないしさ!
もー何その顔。心配しないでよね」
蓮見「お、驚かすなよバカ!」
澪「あはは、ごめんごめん」
いつもの冗談交じりの笑い。
俺をからかうことが好きな澪の事だから、またかって思った。
この時は…
なんで気付かなかったんだろう。
澪が無理して笑ってたってこと。
幼馴染の俺くらいしか、気付いてやれなかった筈なのに。