3日目 (16/18)
昴「ん?あれ、鍵が閉まってる…」
カチャカチャと虚しい音だけがする開かないドア。兄め、鍵閉めてたんだ!!
兄「ははっ、鍵が閉まっているんじゃお前の助けも無意味。
諦めろ?」
『……』
ああどうしようもなく外道。兄は私をあざ笑うかのように見下し、諦めろと言った。
せっかく助けてくれるかもって思ったのにな…どうやら神様も兄の味方のようですね。
もう、いいや…そう諦めて兄を受け入れようと思った瞬間。
ドガンッッ!!
と、ドアが激しく壊れる音が。
母「…なっ、
何してくれるのよ!!」
昴「だって、星が助けてって言っているのにこのドアが開かないから」
母「だからって人の家のドアを蹴破るなんて…どうかしてるわ!!」
兄「てめっ…」
母も兄も、昴さんにギャーギャーと文句を付ける。そんな2人に昴さんは全く動じず、聞く耳を持たないといった様子。
もう凄いんだか何なんだか…よく分からないけど流石は昴さん。やっぱりちょっと変わっているな。
昴「離れてよ」
兄「はあ?」
昴「離れて。星が嫌がってる」
兄「知るかよそんなもん。
つーか部外者は引っ込んで…ッ!?」
昴さんはギリッと兄の腕を掴む。顔はいつものように無表情だけど…
昴「聞こえなかった?
”星から離れて”って言ったんだけど。
まあ、どうしても離れないつもりなら今この場で僕が君のこの腕を折ってもいいんだよ?
そしたら、星のことをこうやって傷付けたりは出来ないでしょ」
怒っている。すごくすごく怒っているんだ。
声の調子からして、いつもの感じではないし。骨を折ってもいいんだよとか…いやいや昴さん怖いですよ!!
兄「いぎッ、は、離せ…!!」
昴「先に星を解放して。そしたら離してあげるから」
兄「……何なんだよ、もう!!」
流石の兄も怯えた表情を見せ、昴さんの言うとおり私を解放した。
昴「星をこの家に置いておくわけにはいかないね。環境が悪過ぎるよ、この家は」
母「な、何を勝手に…!!」
昴「貴女は…母親?
それならあそこでイライラしている息子をどうにかしてあげたら。なんか凄く怖いし」
母「…っ、お兄ちゃん!!ああ可哀想に!」
昴「…馬鹿馬鹿しい。付き合いきれないよ」
さてと、と昴さんは私を部屋から連れ出した。
そのまま階段を下りて、リビングを通り、最終的には玄関の外へ。
『す、昴さん…!!すみません、あっ。ありがとうございますの方が先ですね。すみません!』
昴「星。まずは落ち着いて」
『えっと…はい!』
家の外に出たらなんだか少しだけホッとした。兄も母も居ないから?だからなのかな。あ、でも…
昴「何?」
昴さんが…居るから。
だから凄く落ち着くんだね。