犬村 湾という男 (2/9)
鷲宮「し....喋った!!犬が喋ったああああ!!うわあああああああ!!」
その可愛い子犬の外見とは裏腹に
めちゃくちゃ渋いダンディーボイス。
正直、物凄いギャップだった。
犬村「ふんっ。そこら辺の犬畜生と一緒にされては困る。俺は犬村 湾(イヌムラ ワン)。この会社の立派な社員だ」
鷲宮「うわあああああ!!後ろ足だけで立ち上がったああああああ!!」
犬村「いちいちうるさい小娘だな。普段は移動が楽だから四足歩行をしているが....これが俺の本来のスタイルだ」
鷲宮「い、犬なのに!犬なのに変だ!!まさかこれは.....夢か?」
犬村「犬パンチ!!」
ポコッ!
鷲宮「いって!おい何すんだ犬!!」
犬村「痛いだろう。これが夢ではないという証拠だ。あと俺の名前は犬ではない”犬村”だ。気を付けろ」
鷲宮「くっ....犬のクセに態度でけぇな」
・・・・ってか、何だよこの会社。
犬まで雇ってんのか?猫の手じゃなくて犬の手も借りたいってか?
どんだけ人手不足なんだよ。
犬村「全く....これから俺は営業課に戻らなければならないんだ。邪魔をするな」
鷲宮「え?何?お前営業課なの?何だよ~。早く言えよ。私も営業課に用があるんだよ」
犬村「む。そうか。ならば俺と一緒に来い。案内してやる」
鷲宮「おぉ、助かる。迷ってたところなんだよ。案外いい奴だな、犬村」
犬村「ふん。紳士として当然だ。・・・・おい、頭を撫でるな。気持ちいいだろうが」
こうして、鷲宮と犬村は一緒に【営業課】へ向かう事になったのだが....。
鷲宮「へぇ~。犬村も問題児枠で入社してきたのか。私と一緒だな」
犬村「ふん。お前と一緒にするな」ちょこちょこちょこちょこ
鷲宮「やっぱりお前の課の上司も面倒臭い奴か?」
犬村「ふん。まぁな....はぁ、はぁ.....口うるさい奴だ」ちょこちょこちょこちょこ
鷲宮「ふーん。お、ここ右だっけ?・・・・ってアレ?おーい!犬村!早く来いよ!」
犬村「はぁ....はぁ.....!歩幅がでかいぞお前!!」
鷲宮「当たり前だろ。お前より足長いんだから。そんな短い後ろ足でチョコチョコ....ぶふっ」
犬村「なっ....///お、お前!今笑ったな!人間のクセに!喰らえ、犬パンチ!犬パンチ!」
ぽこっ!ぽこっ!
鷲宮「あははは!はいはい、悪かったよ。で?ここ右だよな」
犬村「ふん。そうだ。右に曲がれば営業課だ」
鷲宮「ってかさぁ....四足歩行すればもっと速いだろ、お前。そんな無理して二足歩行しなくても....」
犬村「四足だと犬っぽいだろうが!!」
鷲宮「いや、お前犬だよ!?100%可愛い子犬だよ!!」
1人と一匹。
いざ、営業課へ。