金 麗 (23/62)
ひとりの帰り道。
トボトボと歩いていると、涙が溢れてきた。
自分はいつになっても辛い身であるのだろうか。
ほんとは今も昔も幸せだった
でもあいつのせいで全てが狂っている。
帰り道はいつもの何倍も長く感じていた。
その時、
急に視界が真っ暗になった。
「えっ!!!」
「よっ」
私の目を塞いでいたのは翔だった。
「翔っ…」
「えっ麗なんで泣いてんの?!
どうした?
大丈夫か…?」
「寂しいよ」
「…………麗」
「復讐のために翔は楽しんでない?
橋本と、ラブラブじゃん。
都合いいことばっかりしてる。
私の約束は橋本のせいで台無し
今日だって幸せそうにキスして
…私の気持ちはどうなるの?」
「…………」
翔は黙ってしまった。
「あいつにとって俺が大切な存在にならなきゃいけねぇんだろ…?
仕方無いじゃんか…」
「もういいよわかったから」
「俺はお前しか見てないよ」
翔はぎゅっと私を抱きしめる。
「ちょっ…こんな道のど真ん中で」
「いーだろ別に」
「ん………」
久しぶりに翔の温かさに触れたけれど
橋本のお古であるようにしか思えなかった。