金 麗 (52/62)
その日の放課後まではいつも通りに時が過ぎた。
放課後になると、クラス中のみんなが
自分の鞄からゴソゴソっと画鋲の箱を取り出し、ポケットに入れた。
私が主犯だということを
画鋲を投げる時まで橋本にばれてはいけない。
だから、橋本が講義室に入った時には
私はみんなの中に埋もれ隠れる。
そのために講義室に急ぐ必要があった。
橋本がはやくきては行けないから牧野に「職員室に行け」と言ってもらうように頼んでいる。
みんなが講義室に向かって走る。
私は橋本の教室の前は避け、少し遠回りして講義室へと向かった。