0019 練馬 ヨシムネ (32/63)
ワシは、自分のクジの紙に、思いっきり筆圧を込めた字を書いた。
それによって、紙には僅かな凸凹ができる。
その面を背にして、紙を折りたたんだだけ。だから手触りで分かるのよ。
どう?聞いちゃえば大した事無いでしょう。
でもね、ミナミは最初、自分からクジを引こうとした。
「ったく」
きっと、同じイカサマをしていたんでしょう。現に、ほらもう聞いてこなくなった。
この子、昔から気になり出すと止まらない。手品を見せたらタネを聞くまで相手の首を絞めるほどだもの。
さて、前座も終わったし、そろそろ本題に移ろうか。
「さんびゃくきゅうじゅうよん ミナミ よんんひゃく」
ワシの様子に、ミナミは決定した勝負クジを見る。
「こんな 自分だって勝つか分からない勝負さあ ホントにやんのかよ」
そこが面白いのよ。
じゃなきゃ本気の意味がナッシン。