0019 練馬 ヨシムネ (4/63)
「練馬さん」
世田谷の声にハッとする。そうだ、話中だったわ。
「ん ああ」
「大丈夫ですか?」
ここはワシの事務所。
窓に設置された蛇腹状のブラインドからは光が漏れている。
白い卓の先に、世田谷がニコニコした表情で座っていた。
「ああ 小さい字を見るとボーッとしちゃってさあ 歳ね やっぱり」
ワシの手元には数枚の紙。そこには細かい文字でビッシリと文字が書かれている。
自分の考えをただ人に押し付け、読む人間への気遣いの無い文章。
怠慢を張りぼてで隠したツバキを、そのまま模した様な駄文の羅列やね。
「ははっ 夜の老王が何を言いますか もう80年は生きますよ」
このクソワッパ。聞き飽きとるわそんな世辞。
ツバキはスーツの内袖を整え、イスに座り直す。
「でっ どうですか?僕のプラン」
ツバキが持ってきたのは、SCMを利用した商売の企画書だった。
「うん 不可能じゃないよ」
こやつ、ワシを奴隷にしたのを機に、こんなもん持ち掛けやがって。
「ですよね?あなたと僕が組めば 可能です 是非協力を」
ツバキはそう言いながら立ち上がり、ワシの目の前まで来て握手を求めて来た。
協力だと?
貴様の奴隷になったワシに、断れる訳無かろうが。