物語のおまけ。 (2/4)
2。
「お兄ちゃん。」
「どうした?桜。」
「暗いね....。」
「そうだな....。」
そう。俺達は
山に置いてきぼりにされた。
「お母さん来ないね.....。」
「うん、来ないな。」
どのくらいたったのだろう、
山に置かれてもう一週間が
経とうとしている。
この山は登るのが禁止なため
登山者が誰もいない。
「お兄ちゃん。」
「どうした?桜。」
「寒いね...。」
「おいで。」
俺は桜を抱きしめた。
まだ季節は冬。
ろくに食べ物も食べていない
桜の体は骸骨のように
かすかに震えていた。
ごめんよ。
桜。
お兄ちゃんがあの夢ゲームってやつに
勝っていれば幸せな未来が
待っていたかもしれないのに...。
「お兄ちゃん。」
「どうした?桜。」
「寒いよ。」
「うん。」
俺は腕の力を強めた。
「あったかい。」
「うん、あったかいな。」
「お兄ちゃん。」
「どうした?桜。」
「帰りたいね。」
「そうだな。」
頼むからもう一度だけ
見せてくれ。
夢ゲームを。
俺達の地獄はまだまだ続く。